今の日本では、JT以外の者が製造たばこを製造することはできませんが、JTが完全民営化され、参入が解禁されれば、今より多様なたばこの在り方が生まれることでしょう。
下の記事に書いたように、完全民営化は、専売公社廃止の時点では既定路線でしたし、財務省の方針としても、今のまま製造独占を維持し続けるつもりはないようなので、改革が断行されるのは案外もうすぐかもしれません。
さて、タバコ種子の販売や情報発信など、ソクラテスの煙草の現在の活動は、完全民営化時代の到来とともにスムーズに新たなたばこの在り方を作り上げるための種まき活動なわけですが、将来のビジョンとして具体的にどうするのかというのは今のところはっきりとは決めていません。
まあ、いくつかのイメージはあるんですけどね。
たとえば、ハンドドリップのコーヒーを出すカフェみたいに、自家菜園で育てたたばこを煙管用に手刻みして提供するお店なんかすごく魅力的だと思うんですよ。
たばこは今では工業製品みたいに大量生産されていますが、そんなのは長いたばこの歴史から見ればほんの最近始まったことであり、日本の例を見れば、たばこが伝来した江戸初期から工業が発達する明治の半ばまで、職人が鉋刃みたいな包丁を用いて手刻みしてたんですよね。
こんな感じで↓
たばこの職人は、大体の場合夫婦ふたりでやっていて、奥さんがたばこの葉を束ね、夫が手で刻むという感じだったらしいです。
ちなみに、刻みに使ったのは、「煙草包丁」という鉋(かんな)っぽい形状の刃物でした。
当時の日本の刃物の技術は、世界的に見ればありえないほどにレベルが高く、煙草包丁も日本刀や大工道具の技術を流用して作られていました。そんな最高の刃物で刻んだからこそ、「刻みたばこ」という日本独自のたばこの在り方が誕生したのは言うまでもありません。
残念ながら、明治後期の工業化と専売制のおかげで、手仕事で作られる刻みたばこは絶滅してしまいましたが、日本の伝統的な刃物の技術はまだ生き残っています。鉋の職人さんに頼めば、30cm幅で裏スキがしっかり入った伝統的なたばこ包丁を作ることは可能でしょう。
包丁さえあれば、伝統的な製法などはちゃんと文献に残ってますから、復活させるのは簡単です。
「日本の伝統的刃物を使い、職人が手仕事で刻んだたばこ」
一度は味わってみたい!
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というわけで、こういう風に伝統に全フリした方向性もぜんぜんありだと思うんですよ。
というか、これからのたばこの在り方はそういう方向で行くしかないんじゃないかとも思えます。
禁煙の流れが進む一方で、いまだにコンビニやスーパーとかで手軽に買えるっていうのがそもそもおかしいんですよね。
たばこはもう、一部のアニアックな人のための嗜好品という位置づけにして、少数の零細業者が、それこそ手工業的な感じで小規模に生産するっていうのが、吸う人も吸わない人も納得できる解なんじゃないかなあ。
手刻みのたばこを提供するカフェだったら、たばこ嫌いの人はそもそも来ないし、逆にたばこ好きの人には結構ウケると思うんだけど。
と、そんな妄想をしてみましたとさ。