たばこ自作税を作ってはどうだろうか?

ソクラテスの煙草で販売しているタバコ属植物の種子はすべて、店主である私自ら、当店の採種圃場にて生産している。

タバコという植物は、葉を十分に茂らせた後で花を咲かせ種子をつけるので、当然、当店ではタバコの葉も生産していることになる。

しかし、現在の日本では、たばこ事業法により「製造たばこは会社(JT)でなければ製造してはならない」と規定されているため、それらの葉を加工し、たばこを作ることは今のところしていないし、これからもするつもりはない。また、種を買っていただく際には、「種子を違法行為に用いないこと」という契約をしてもらわない限り、種子の販売を断っている。

そもそも、この活動の主旨は、日本のゆがんだたばこ制度の改正を促し、新規参入を解禁させたうえで、私自らオーガニックたばこブランドを設立し、日本の伝統的なたばこの在り方を復活させることにある。

それが、何もしなければ衰退し消えゆくたばこの未来のために、たばこ好きな私ができる精一杯の行動だと思うからだ。

そのためには、いま私自身が違反をするわけにはいかない。

「たばこの未来」と「たばこを自作したいという欲求」を天秤にかければ、私の欲求など塵みたいに軽い。

そんな塵みたいな目先の利益のために、法を犯し、活動をとん挫させるわけにはいかないのだ。

ちなみに、当店の店名にソクラテスを引用したのは、有名な「悪法もまた法なり」という言葉が、私自身やお客さんへの自戒を促す象徴になると思ってのことだ。

この小さな苗に、日本のたばこの未来がかかっているはずだ。

とはいえ、自分が育てたタバコを自ら加工して味わえないというのは、菜園家の私にとって拷問のようなつらさである。

それに、種子生産の副産物として出る葉だけでも、私の喫煙スタイルなら数年分の量になるから、経済的な損失も結構大きい。

そこで、今回はたばこ行政の中の人たちに向けて個人的に一つの提案をしたい。

たばこ自作税を作ってくれないか?

と。

たばこ自作税なら、だれも損しない。

いうまでもなく、たばこの自作を禁じる現行法の主意は税である。

ならば、自作する人から税を取れば、自作を禁じる理由は何もなくなるはずだ。

たとえば釣りの遊漁権のような形で、年間数万円の税を払ってたばこ自作権を購入するような仕組みを作り、業務の大部分をマイナンバーを使ってネット上で完結させれば、徴税のコストもほとんどなく制度を運用できるはずだ。

もちろん、これは自己申告制だから、性善説的な考えに基づいているわけだが、仮に少しの不届き者たちがヤミ自作したとしても、それを上回るほどに、たばこ自作の経済効果は大きい。

なぜなら、現在の日本のタバコ自給率は原材料ベースで15%ほどしかなく、原料の大部分を輸入に頼っているからだ。現在、われわれ日本人は、毎年約4000億円をたばこを輸入するために使っている。この額は農産品輸入額では第2位、豚肉に次ぐ額だ。

となれば、仮にヤミ自作する不届き者がいたとしても、彼らが庭で生産したたばこは、まぎれもなく日本国内で生産された富であり、海外から富を購入するよりよっぽどいいはずだ。

日本円の価値を担保するのは日本の経済力であり、グローバル化した現代では、日本の経済力=海外から稼ぐ力である。海外から稼ぐこと=海外へ出ていくコストを削減することでもあり、たばこの自作は、日本の経済力を強くすることに確実につながる。

たかがたばこ代なんて、と思うかもしれないが、仮に2日に1箱吸う人なら年間で約4万円分(税引きした純粋な製品の価格)の富を生み出すことができる。10年で40万、40年で160万だ。これは強引に言えば、一人の人が一生のうちに車1台分ぐらいの富を創造しているようなものだ。

それに、家庭菜園的に自作するならコストはほとんどかからない。タバコは週一の適当な管理で十分に育つ丈夫な植物だからだ。12畳ほどの農地と肥料(生ごみとかで十分だ)があれば、あとは少しの労働だけでいい。労働はボランティアだが、報酬としてたばこ1年分を手に入れることができるから、自作した人は実質的に数万円分の所得を得ることになる。

日本には大量の農地が余っているし、趣味的な活動として自作を行うとすれば、本来ならテレビを見てごろごろしている余暇の時間を使うことになるから、眠っている潜在的な労働力を掘り起こすことにもなる。労働者人口が確実に減っていく今後、週末の余暇の時間にのんびり休んでいる暇はない。喫煙者はたばこ代を浮かせるぐらいの労働を余計にやる必要が出てくるはずだ。

たばこ代の所得に占める割合が1%だとしたら、たばこを自作するだけでも、所得が1%増えることになるから、経済成長率の低下を食い止めるのに微力ながら貢献する効果もある。

あとは、たばこ利権にあやかっている人たちをどうするかという問題があると思うが、そういう人たちにはいっそ金やポストを渡して、利権から手を引いてもらえばいいと思う。

そもそも、違憲まがい(幸福追求権的な意味で※)のたばこ事業法によって自作の自由を奪うというのは、我々の自由な社会にとって大きな損失をもたらしている。その損失は金額に換算すれば相当なものだ。既得権益者に手切れ金を渡してもあまりあるぐらいだろう。

※たとえばお酒の場合、三十年前のどぶろく裁判では合憲判決が下ったが、酒の自作の禁止は違憲であるとする法学者は少なからずいる。たばこの自作についても、違憲である可能性は十分にある。こればかりは、誰かが「どぶろく裁判たばこ編」みたいな訴訟を起こし、実際に判決が出てみないとわからない。

 

というわけで、たばこ自作税を導入し自作を解禁するだけで上記のメリットは簡単に手に入るのだから、中の人たちにはぜひご検討いただきたい。

あまりにもモタモタしてると、どぶろく裁判の原告みたいな変人が出てくると思いますよ(笑) その手の訴訟が今起きれば、国内製造によるコストカットを目指す外資系メーカーの圧力的に考えて、違憲判決出さなきゃならなくなるんじゃないですか?

そうなる前に先手を打って、利権を調整しておいた方が絶対お得だと思うけどなあ。

政府さん、JT株いつ売るの? 今でしょ!!

税は独占の根拠にはならない

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