アメリカからタバコの種子を輸入するのが大変だった話 #4.5  カリフォルニアのマリファナ事情

さて、前回の記事の最後に、友人とロッククライムに行った時の写真を載せたが、写真を見ていて、ある連想がわいたのでここに書いておこう。タバコの種子の輸入の話とは全く関係はない。

それは、アメリカの、というかカリフォルニアのマリファナ事情についてである。写真の中で崖っぷちに立っている友人は、マリファナ好きだったのだ。

といっても、カリフォルニアでは、今年の11月の住民投票で嗜好品としての大麻が合法化されたばかりなので、私が書くことは、すでに“古い情報”なのだが、合法化の一年前のカリフォルニアの空気感を少し伝えられたらとおもう。

 

私がアメリカにいたのは去年のことだから、その時は医療用大麻だけが合法だったのだが、その当時から、「これは近いうちに嗜好用も合法化されるだろう」というのは肌で感じられた。というのも、若い人たちの間では、マリファナはもはや「たばこよりも安全な嗜好品」として認識され、利用されていたからである。

前回の記事の写真に写っている友人(ここではAとする)も、ジャンキーとは言わないまでも、私が彼のアパートに遊びに行ったときにはけっこうな頻度でマリファナを喫煙していた。もっとも、彼は自然が好きで、それ系のカルチャーに親和性がある人物だからなのかもしれないが、たまに彼にマリファナを売りに来る女の子は、いたって普通のまじめそうな子で、日本人の感覚からすれば、この子もマリファナやるんか!?と少し驚くぐらいだった。

 

下の写真は、Aにマリファナを売りに来る女の子がいつも持ってくるビン。名前は忘れたがピクルスとかを作る用に日本でも売っている有名なやつだ。この量で20~30ドルぐらいで取引されていたはず。彼らはこれをそのままガラスのパイプに入れて吸っていたが、私にとってそれはキツすぎた。効果どうこう以前に喉が痛いのだ。なので私は、彼らがspliff と呼んでいる、たばことマリファナをブレンドしたものを吸っていた。それもたばこ9割ぐらいのごく薄いものを。

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私はアメリカ滞在中、大学内の寮に住んでいたが、(その寮は5LDKを5人で使うような感じ)ルームメイトのアメリカ人のうち2人はマリファナをたまに吸っていた。オーストラリア人留学生のルームメイトがバットトリップして帰ってきたときは、その時のエピソードを聞いて皆で爆笑したのを覚えている。なんでも、酒もかなり飲んでいたので、寮のスタッフを警官と勘違いして訳が分からなくなって逃げてきたのだそうだ(笑)

 

ハロウィーンの夜にチーコという学生都市(ハロウィーンの時に盛り上がることで有名な街らしい)に遊びに行ったときは、街の至る所でマリファナの臭いがした。その街では、一軒家を数人で借りて暮らしている学生が多く、ハロウィーンの夜にはそうした家の庭で小規模なレイヴやパーティーが開催され、夜中、知り合いの家を渡り歩くのが彼らのスタイルなようだ。私の友人の友人の友人がちょうどそういう家の住人だったので、我々はちゃっかりある家に入った。

その家では20人ぐらいの学生がパーティーをしていて、当然のごとくマリファナが吸われていた。「コカインもあるよ」と言われた時は正直かなり引いた。皆かなり酔っぱらっていたのでばれないだろうと思い、テーブルの上に置いてあった見知らぬ人のキャメルの箱から数本のたばこを失敬したのはいい思い出である(笑)

 

また、私がよく手巻きのアメスピを買いに行っていたインド系の店主がやっているたばこ屋には、マリファナ吸引用のパイプが堂々と売られていた。そこは、表向きはたばこ屋だが、売り場面積からいえばマリファナグッズ店だった(苦笑) そういう店は道路沿いのいたるところにあった。

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アメリカ滞在中に読んだ、Michael Pollanというカリフォルニア大バークレー校の現役教授の本(端的に言えば、オーガニックムーブメントやアリス・ウォータース系の本。わかる人にはわかる)の中に、マリファナをやった経験についての記述が悪びれもせずに書いてあったのは驚いた。バークレー校は名門もいいとこの超有名大学だが、そんなところの教授が普通にそういう記述をするところに、日本とアメリカ西海岸のマリファナの扱いの違いを感じた。

 

しかし、カリフォルニアと言えども、やはり年配の人はマリファナに対して何らかの悪印象を持っているようだ。私が授業の課題で自然保護区を調査しに行ったときに出会った60代の白人女性は、前々回の住民投票で嗜好品大麻合法化が否決されて良かったと言っていた。(ちなみに、そのおばさんとは3時間ぐらい保護区めぐりデートをした(笑) 確か、その日その保護区で開催されるはずの観察ツアーの情報が、実は一年前のもので、それを知らずにそこに来たのが私とそのおばさんだけだったといういきさつだったはず。今思うとなかなかおかしい。あのおばさん、今も元気かな。)

そしてもちろん、マリファナをやらない若者も大勢いる。アメリカでも、マリファナはそんなに安いものではないので、わざわざ金を出してやるようなものではないと思う人も多いのだろう。

また、当時は非合法のものだったので、当然、ギャングなどの資金源にもなっていたはずだ。私がダウンダウンにあるホステルに滞在中、深夜に外でたばこを吸っていたら、道路を歩いてきたガラの悪い黒人が、

I gotta weed

と近づいてきたことがあった。

私は最初、weedの発音が理解できず、ウィー、ウィーって言ってるけど何や、こいつはタバコがほしいのか?と思いたばこを差し出したが、どうやらweed=マリファナを売りに来たようだとすぐにわかった。そのときの私はアメリカについてすぐのピュアな人間だったので、適当に断った。ちなみに、カリフォルニアでは喫煙所やバーでたばこをせびられることがよくあった。知らない人に「たばこ一本くれない?」といえる図々しさ。私は嫌いじゃない。

 

私は正直、マリファナが嫌いだった。正確に言えば、マリファナを楽しめるほどにマリファナに慣れられないまま帰国した、と言った方がいいのかもしれないが、どうもあの酔い感が好きになれなかったのである。アルコールもそうだが、私は思考や感覚に明確な作用をする物質が基本的に好きではない。車にはねられて路上で死んでいたスカンクの臭いがマリファナのそれに似ていたのも、私に悪印象を与えている。(サクラメントにはスカンクが普通にいました。あとリスもうじゃうじゃいて、七面鳥も土手を闊歩してました。珍しいのだとハチドリもいました。まっこと自然豊かなところです)

だが、マリファナの善悪や好き嫌いは別にして、マリファナ解禁のようなダイナミックな法改正が、住民投票という、ごくシンプルな方法によってなされるのには正直羨ましさを感じずにはいられない。あの自主性と柔軟さは、アメリカの強さの一つだと思う。とはいえ、去年の冬頃、スーパーマーケットのビニール袋が州法でいきなり廃止されて、破れやすい紙袋に変わった時は辟易したが(笑)

以上、一年前、嗜好大麻がまだ非合法だった時のカリフォルニアのマリファナ事情でした。ちなみに、私はマリファナが嫌いなので、個人的には、日本での解禁には賛成はしない。とはいえ反対もしないが。

植木鉢で栽培するタバコ

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