アメリカから種子を輸入するのが大変だった話 #5

#4の続き

 

前回は、農務省横浜防疫所がサンダースさんの求める“公式な文書”を速やかに発行してくれたというところまでお話ししました。

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日本の検査要求に関する公式な文書。検疫官の名前が出ているところは隠してあります。

今回はついに、PDFファイル形式で海を越えアメリカに渡ったこの文書を携え、サンダースさんの事務所であるCounty Agricultural Commissioner’s officeに向かいます。

といっても、そのオフィスは、私が冬休みの間居候していた友人の家から車で10分ぐらいの場所にあり、その友人が車を出してくれたので、何も問題はありませんでした。

オフィスの外観はごく普通

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車を出してくれた友人のカイル。午前10時ぐらいに、オフィスの駐車場で。

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オフィスに入ると、黒人女性の受付が要件を聞いてきたので、あらかじめ予約してあることを伝えると、5分ぐらい待たされて、ついにサンダースさんが出てきました。

前にも言った通り、私はラモーナ・サンダースというのが男の名前だとずっと思っていたので、それまでのメールのやり取りでMr.の敬称を使っていたことに恥ずかしさを感じ、どぎまぎした感じになりました。当日の朝には、「一か月もてこずらせやがって!」と半分本気で冗談を言おうと思ってましたが、それで言い忘れた (笑)

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待たされている間に。壁に貼ってあったポスターの写真。

サンダースさんは我々二人を彼女のオフィスに招き入れると、早速手続用の書類を準備しながら、「個人の検疫もだけど、タバコの種なんて珍しいわね。日本では自家製造してもいいの?」とか聞いてきました。

私は「栽培まではいいんですよ。残念ながらその先はダメだけど」みたいに返してました。

 

“公式な文書”は、あらかじめメールで送っていたので、彼女は印刷されたものには少し目を通しただけで、早速、隣の検査室で種子の検疫を始めました。

サンダースさんが、めったに来ないであろう個人の小ロットの検疫要請を受け、同僚に助けを乞いながら、明らかに不慣れな手つきで検疫をしているところをこっそり動画にとっておきました(笑) 写真はそこからキャプチャしました。

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そんなわけで、検疫自体はすぐに終了しました。まあそれもそのはずで、150個ぐらいある種子袋のうち、5個ぐらいしか開けてませんでしたから。

検査、いい加減過ぎww

で、検疫をちゃんとやりましたよ!という証明である検査証明書をサンダースさんが直筆で記入し、検疫の代金20ドルぐらいを払って、手続きは終了しました。

ちなみに検疫の代金は2つに分かれていて、一方が政府だか農務省だかに、そしてもう一方はサンダースさんのオフィスに入るようになっていました。どちらか忘れましたが、一方は小切手でしか支払えないという謎の制度のため、小切手口座を持っていなかった私は、カイルに代わりに払ってもらいました。

それにしても、検疫にもいちいちお金がかかるのはアメリカ流です。日本なら無料なのに。サンダースさんのオフィスに払うのはいいとして、農務省に払うのは納得がいかんかった!

 

帰りがけに、個人でタバコの種子を検疫しに来た珍しい日本人がいるということでそのオフィスの職員が数人集まってきました。そのうちの一人の白人男性職員は、タバコの産地ケンタッキーが地元だそうで、タバコの葉がべたべたする話とか、親戚が大学職員で農業を教えている話とかをしてくれました。

 

オフィスを出た後は、カイルの飼っている白黒のヘビ(カリフォルニアキングスネークとか言ったはず)の餌を買いにペットショップに行き、そこで親指の半分ぐらいの小さなマウスを買って、彼の家に帰りました。私はその道中、紙箱のなかでカサカサいう小動物を待つ未来を想像して、半分悲しくなり、ヘビが生餌をどうやって食べるのかを想像して、半分わくわくしていました。

 

ということで無事に検査証明書を取得できたので、種を正式に輸入するために残る手続きは日本の空港での検疫のみとなりました。

 

ああ、ここまでが長かったー!

#6へつづく

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