日本で商業栽培されるタバコは、すべてJTに卸されます。
つまり、日本のタバコ栽培はJTによって牛耳られているといっても過言ではありません。
しかしそのJTはどうやら、在来種タバコを守る気が全然ありません。
というのも、昨年に続いて今年も、在来種タバコの作付が全くされなかったのです。
それはこのページ、
を見ていただけるとわかります。
以前、【悲報】日本の在来種タバコ、27年度を最後に生産終了していた件という記事でお知らせしたとおり、日本での在来種タバコ栽培は、ここ10年の間に一気に衰退し、一昨年の一品種を最後に、昨年は全く栽培されなくなってしまいました。
たばこは、100余年の独占のせいで生産と消費が極度に隔離されてしまった産業であり、喫煙者の方々も「俺が吸っているこれは何なのか」という疑問をあまり抱きませんが、日本人にとってタバコは、キャベツやレタスなどの西洋野菜より断然歴史の長い作物です。
そのなかでも、在来種は、タバコが桃山末期~江戸初期に伝来してからの約400年にわたって、日本の気候、日本人の好み、日本独自の喫煙形態である煙管との親和性などに特化して改良されて続けてきた、いわば、日本の煙草文化の生き証人です。
低く見積もっても300世代は繰り返し栽培され、採種され、改良されてきた在来種は、我が国の煙草の歴史を記録した生きたレコードです。
それが消えかかっているのです。
タバコは生き物であり、種子の寿命は比較的長いとはいえ5年ぐらいです。なので、このまま栽培が途絶えてしまえば、在来種の遺伝資源は消失します。
このことの重要性は、菜園家、それもこだわりのある菜園家にしかわからないかもしれませんが、在来種が消えるというのは、私の感覚だと1000億円分ぐらいの損失です。
同じ産業にかかわるものとして、あまりこういういい方はしたくはありませんが、目先の利権だけにとらわれた既得権益者たちの作り上げた独占という制度によって、在来種はもはや風前のともしびです。
そこで、私は、もし発芽能力のある在来種の遺伝資源を持っている農家、元農家、菜園マニアがいるなら、その人たちに向けここで呼びかけておきます。
「もしまだ持っているなら、在来種の種子をうちに寄付してくれませんか?」
と。
うちのサイトは、一日300人ぐらいの人が見に来てくれます。
そのなかの幾人かの方は、うちから種子を買って、実際にタバコ栽培の世界に足を踏み入れています。
「たばこを自分で作るのは違法だけど、タバコの栽培だけなら合法ならば、栽培してみよう!」と思う方は、少ないながらいるのです。
なのでおそらく、タバコの在来種を守るなら、現状ではうちのお店が一番有効なプラットフォームでしょう。
うちに在来種を寄付してくれても大したお礼はできませんが、寄付していただいた遺伝資源はうちの採取圃場で増殖し、利潤を全く乗せずに低価格で販売します。
全国の菜園家たちによって保護すれば、絶滅の可能性は著しく減るはずです。
あと20年ぐらいの間遺伝子を残すことさえできれば、のちに新規参入が解禁された後には、在来種タバコ専門の刻みたばこ専門メーカーなどがその責務を引き継ぐことができるはずです。
連絡、お待ちしています。
初めまして。夜分失礼します。沖縄在住のNと申します。在来種のタバコとはどのように見分けるのですか?我が家の庭には勝手にタバコが生えているのですが、水も肥料もあげた事はない割に、葉っぱは虫食いひとつなく生き生きしています。私はタバコを吸わないので常々勿体ないなあと思っていて、ふと吸う以外の活用方法がないものか検索していてこちらのサイトに行き着いた次第です。今種も出来ています。必要であれば種も寄付したいです。よろしければまず画像をお送りしますので下記のメールアドレスまでご連絡ください。
はじめまして。
作付けしていなくても
専売公社→JTになった時点で処分していなければ在来種タバコ種子を保管しているはずです。かなり古い品種も保存しているでしょう。
保管中に「保管している環境に合わせて種子が変化」することがあるそうで、
そうならないために、定期的に栽培して種子を更新するそうです。
(と、いう情報を「日本専売公社が発行した書籍」で読んだ覚えがあります)
一般人が入手する事は困難ですが在来種絶滅の心配は、とりあえず無いと思います。
タバコだけでなく、例えばトマトについて、カゴメは世界中から様々な種子を収集保存しています(7500品種位上/2018年)。それらの種子を使って新品種作出します。そのための戦略資源ですから。
委託生産者が種子を保存している可能性は低いかもしれませんね?
種子数~苗数~生育中の葉の枚数~収穫葉数~キュアリング後の葉数、、全て管理されているそうなので。
それに開花し始めたら葉の生育と品質保持のために花は切除かと?
エレキ様へ
コメントありがとうございます。
半年ほど前ですが、山形で「ハーブ研究所」なるものを経営しているおじいさんと会いました。
その方は、JT民営化時に相当数の品種を取り寄せて栽培したことがあるとおっしゃっていましたよ。
当時は個人レベルでもそれが可能だったらしいです。
また、一昨年、私が千葉のタバコ畑を視察した時は、結構な数の個体が花をつけていました。現在、農家の管理は結構いい加減なのかもしれません。
もっとも、その畑のタバコが在来種であるという確証はありませんが。
また、カゴメの話は私も聞いたことがあります。
アメリカにいたとき、ロスバニョスという街に住む友人の家にステイしながら、その町にあるカゴメのトマト製品工場の近くをドライブし、周辺の畑なども見ましたが、規模感が違いましたね。
トマトを基盤として、あの規模で商売をするなら、7000種の遺伝子を保存する必要は確かにあるなと納得できます。
まあでも、カゴメにしてもJTにしても、私の理想とはちょっと違うというか、規模がでかすぎるわけです。
そりゃ、何千種もの遺伝子を保存して、培養施設もあって、専門のスタッフもいる、そんな集団に任せた方が効率はいいと思います。
ただ、それじゃつまらないんですよ。
少なくとも自分で消費する分に関しては、自分で品種を維持したり、品種改良したり、したいわけです。
消費者に成り下がりたくないというか、生産を人任せにしたくないというか。
効率は悪いかもしれませんが、個人的には自分で消費するものを可能な限り自分で生産したほうが心地がいいのです。
その「生産」の一部として、個人による品種の保護をしたいなーということであります。
それと、八重山諸島で野生化したタバコの種子を寄付してくださる方がおり、入手しました。
そんな感じで、JTの管轄外で生き延びている在来種てきなものはまだまだあると思うのです。