蚊取り線香の煙は、たばこの副流煙と同じくらい危険なんですけど?

たばこの煙を毛嫌いしているあなたが、もし昔ながらの蚊取り線香を焚いているとしたら、いますぐにやめたほうが良い。

密閉した室内での使用など言語道断だ。

あの緑色のグルグル一本が燃える間に、たばこに換算すれば約20本分のタールが放出されているからだ。(蚊取り線香一本14g、たばこ一本に入っている葉の量を0.7gとして計算。いずれも私が実測した値)

タールは植物を燃やせば必ず出る。そして線香の主成分は木質の粉だ。

たばこの煙の成分のうち、最も量が多く有害だといわれる発がん性物質タールは、たばこに限らず、植物を燃やせばかならず発生する。そして、蚊取り線香の主成分は木や草の粉末だ。木の粉を燃やしているのだから、当然タールは発生している。

そのことは、ここで長々と説明するより、下の写真を見てもらえば一目でわかるだろう。

これは市販の蚊取り線香に付属してくる燃焼皿のふたの裏側だ。蚊取り線香を10本も使えば、ふたの裏側はタールで真っ黒になる。

たばこの害を啓蒙するPR教材などに、真っ黒になった肺の写真があるが、それと同じことがここでも起きているのである。

もしもあなたが、閉め切った部屋で一本の蚊取り線香を焚いたら、それは写真のような真っ黒な物質(たばこ20本分)を、何回も何回も自分の肺で濾しとっているのと同じことである。

ちなみに、たばこのタールが悪くて線香のタールはいいということは全然ない。元がなんであろうともタールはタールなのだ。

だから、あなたがもしたばこの副流煙を避けて生活しているなら、これからは蚊取り線香の煙も警戒したほうが良い。

逆に、蚊取り線香のタールを気にしないなら、たばこのタールも気にするべきではない。それは滑稽な自己矛盾だ。

また、あなたがもし「たばこは絶滅したほうが良い」と思っているなら、それは、蚊取り線香的なもの、いいかえれば、すこし不潔かもしれないが伝統的な存在を社会から排斥しようとしているのと同義だ。

われわれの社会は、すべてがきれいで、清潔だとは限らない。

いやむしろ、こんな清潔な時代は、人類の歴史から見れば最近のごくわずかな期間だけだ。

タールだって、人類は火を使い始めた20万年以上も前から常に摂取してきた。

「火の使用が人類の脳の進化を助長した」という説が正しいなら、タールはわれわれとは切っても切り離せない物質である。

それを切り離し追放し、清潔な世界を手に入れようとするなら、いっそ意識ごとコンピュータに取り込んで、映画「マトリックス」的な世界を目指せばいいと思う。

言い過ぎなように聞こえるかもしれないが、過剰に清潔を求めるというのはそういうことだ。

過剰な清潔の先に待っているは、人間味がなくてつまらない世界だ。

植木鉢で栽培するタバコ

煙草は植物だ

「肥料食い」と呼ばれるタバコを、生ごみ肥料だけで育ててみた結果・・・

3件のコメント

  1. 世の中、タバコが嫌いなのではなく、タバコを吸っている奴が嫌いなだけなんですよ。タバコをくわえて煙をくゆらしている姿がむかつくのです。ですから、合理的にタバコを擁護しても相手ははなっからタバコを手にする輩を排除したい、つまり自分の価値に合致しない人を排除したい気持ちであふれているので、論破することは難しいです。人間社会、攻撃対象を攻撃しても非難されない立場になれば、思いついたように弱者(喫煙者)を攻撃する社会なのです。体に悪いから、とか本当はどうでもいいのです。ということで、こっそり隠れて吸いましょう、隠れニコチン。私は応援します、ブログ、がんばってください。

  2. タールはタール。
    ですが、タールの内容物によっても違いますね。タバコには沢山の有害物質や発がん物質(製造過程で添加される化学物質など)が含まれていて、燃焼時に副流煙となり周りの人へ影響します。
    蚊取り線香はどうでしょうか?
    具体的にどういった有害物質が蚊取り線香のタールに含まれますか?
    そこの情報が欲しいですね。
    また蚊取り線香は日本の文化に当たると思いますが、タバコは違います。
    キセルで吸えば別かもしれませんが、そんな人見つける方が今の時代ほとんどいません。
    私自身タバコの煙は嫌いですが、蚊取り線香の煙とタバコの煙が完全一致するとは思えません。
    少なくとも蚊取り線香の香りは人によっては楽しめるものですから。
    もう少し具体的な有害物質の情報が欲しいですね。

    1. Wakuwaku様へ

      コメントありがとうございます

      「蚊取り線香は日本の文化、でもたばこ(特に紙巻きたばこは)文化ではない」
      という論点についてですが、蚊取り線香大手、キンチョーのHPによりますと、

      蚊取り線香の主原料である「除虫菊」について、

      “日本では弊社の創業者である和歌山県出身の上山英一郎(うえやま えいいちろう)が明治19年(1886)にアメリカのH.E.アモア氏から除虫菊の種子を贈られ、渦巻型の蚊取り線香を発明しました。”

      とありますように、その歴史はあまり古いものではないようです。

      一方、明治19年には紙巻きたばこはすでに日本に伝来していましたし、明治36年時点では、大小さまざまな企業が紙巻きたばこを製造しておりました。ちなみに、たばこ自体の伝来は17世紀初頭ですから、煙管が文化であるというのは、間違いなくそうです。

      なので、日本での歴史という観点から見れば「蚊取り線香は文化、たばこは文化じゃない」というのはちょっと違うかもしれません。

      明治37年以降、たばこが専売化され工業製品のように製造され始めてから、たばこが文化的価値を失っていったことは間違いありません。

      当ブログとしては、実質的な専売制を引き継ぐ現在の制度に異論を唱えており、専売制以前の、文化的価値があるたばこの復興を目指しています。(日本酒のように)

      明治時代のたばこについては、等ブログでも紹介していますので参考になさってください↓
      明治時代の民営煙草のパッケージ #1 口付たばこ編

      また、たばこのタールにどんな有害物質があるか?という論点についてですが、

      タールはそれ自体が有害物質でございます。

      たとえば、私の自宅は薪ストーブを使っていまして、燃焼のコントロールを間違えたり乾燥が十分でない薪を燃やすと、煙突の継ぎ目からタールが流れ出ますが、あの量のタールを自分の肺に取り込みたいとは絶対に思えません。

      タールの有害性ついては、量的な問題であって、1グラムのたばこから出るタールと、1キログラムの薪から出るタールを比べると、(すべてを体内に取り込んだ場合)後者の方が圧倒的に有害であるといえます。

      最後に、Wakuwaku様がおっしゃるように、「たばこの煙は嫌い、でも蚊取り線香の煙は楽しめる」というふうに、人の好みは様々です。

      逆に、たばこの煙も好きという方もおられます。

      なので、分煙はやはり必要だと思われます。

      ただ、たばこ=危険=抹殺すべきみたいな社会の流れに対しては、

      じゃあ、蚊取り線香は?キャンプファイヤーや薪ストーブの煙は?

      とかみついてみたくなるわけです。

      まあ、現在は薪の煙や蚊取り線香のような情緒のある香りも社会から抹殺されそうな勢いなので、非常に嘆かわしいなあと思っています。

      たばこ=抹殺すべきみたいな風潮を許すと、ゆくゆくは蚊取り線香や薪の煙のように「確かにすこし害はあるけれど、昔から使われてきたもの」でさえも迫害されてしまう世の中がやってくると思います。

      わたしはそんな世の中にはなってほしくないですね。

ソクラテスの煙草 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です