タバコの原種は未発見だが、原産地はおおよそわかっている

前回、タバコの原種はいまだ発見されていないという記事を書いたが、遺伝子の分析から、タバコという植物がどこで誕生したのかということはおおよそ想定されている。

人類が喫煙に用いてきたタバコ属植物はニコチアナ・タバカムとニコチアナ・ラスティカで、そのどちらも南米大陸が発祥の地だとされている。タバカム種はボリビアとアルゼンチンの境目、ラスティカ種はペルーからボリビアにかけての、アンデス山脈の比較的標高の高い地方だ(※)

南米大陸は、アフリカから始まった古代人類の移動の旅の最終到達点であり、まだ地続きだったベーリング海峡を渡り北米大陸を縦断した人類が南米大陸に移入したのは、いまから13000年前だといわれている。紀元前1800年頃に始まるマヤ文明がタバコに深いかかわりがあることは既知の事実だが、彼らは南米大陸ではなく、グアテマラやホンジュラス、メキシコなど、中央アメリカで栄えた。つまり人類は、一度中央アメリカを通過した後、南米大陸でタバコの“もと”となる植物と出会い、その“もと”を改良し、それが再び中央アメリカにもたらされたと考えるのが妥当だろう。

前回書いた通り、ニコチアナ・タバカムは人が関与したことによって生まれた種である。人類とタバコの“もと”となる植物が南米大陸の中央部で出会ってから、その“もと”がニコチアナ・タバカムという独立した種となり、それがマヤ人たちすむ中央アメリカに到達するまでには、少なくとも数百年、長ければ数千年の時間が必要だったはずだ。

たばこの歴史についての記録は、マヤの遺跡に残っている最も古いもので7世紀のものだ。少なくともそのころまでには、たばこの文化もタバコという植物も完成していた。

だとすると、人類がタバコを利用し始めたのは紀元前1000年ぐらいからと考えるのが妥当かもしれない。

喫煙の歴史、最古の記録

※ JT発行 「タバコ属植物図鑑」参照

2件のコメント

  1. 「一万年の旅路」タイトルの本がありますが、ネイティブアメリカンの部族のなかで、口伝で伝承を伝えた内容で、ベーリング海峡を綱渡りで、移動した記述があり、マヤ文明なのか、いろんな部族との交流や意図的に、他の部族に侵入し、技術を習得したり、特殊な能力を有する部族の子供を身籠り、皆でその知識や技術を共有したり、また、毒のある植物を食べて死んだり、様々な歴史が書かれています。

  2. ネイティブアメリカンやマヤ人の中には、薬用植物を探す試行錯誤の途中で、タバコを食べて死んだ人が数千人ぐらいはいるでしょう。

    カルロス・カスタネダというアメリカの文化人類学者によれば、彼らのシャーマンは薬用植物によってLSDを服用したみたいなトランス状態なるらしいですが、たとえば、タバコの葉を食べてそういう状態になるには、致死量ギリギリまで食べないといけませんから。

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