去年の10月ごろ、ふと思いついて、いつも釣りに行く川の近くの用水路でメダカを捕ってきた。
その用水路に行くのも、網で魚を捕るのも、小学生の時以来だから、十数年ぶりだ。子供の時の記憶では、そこの田んぼは広大で、用水路は無限に続いていた気がしたんだけど、改めて見てみると、田んぼはこじんまりとしていて、用水路もかなり浅くて拍子抜けした。でもメダカは昔と変わらずうじゃうじゃいたので少し安心した。そこの水系では、ここ数年バスがよく釣れ始めたので、釣り人としてはうれしく思う一方で、生態系がどうなっているのかいつも心配だったのだ。
捕ってきたメダカたちはいま、窓際に置いた水槽で泳いでいる。朝の寒いうちはのろのろと泳いでいるメダカたちも、水温が15℃ぐらいまで上昇する昼ごろになると、かなり活発になる。太陽光のおかげで、底砂に植えたヘアーグラスやコブラグラスもすこぶる良く育っている。水草の気泡と戯れながら泳ぐメダカの様子は何時間でも見ていられる。
メダカと一緒に掬ってきたドジョウも少し成長したように見える。うちの水槽は水の汚れを防ぐために餌をあまりやらないようにしているので、底に住むドジョウにメダカの餌が直接届いているとは思えないのだが、とくに痩せてもいないから、砂粒の間にあるバクテリアの膜か何かを食べているのだと思う。
メダカとドジョウのほかには、水路で一緒に捕ってきたヌカエビが20匹と、買ってきたヤマトヌマエビが10匹いる。彼らは、昼間は岩の陰に集まって寝ていて、夜間と餌の匂いがした時だけ活発になる。まったく陰気で現金なやつらなのだ。ちなみにヌカエビは数匹が産卵したので、どこかに小エビがいるはずなのだけれど、ヘアーグラスの茂みにいるのか、全然姿を現さない。もしかしたら、メダカやドジョウのおやつになっているかも。
底砂はうちの真ん前の川で取ってきた砂を敷いている。去年、大雨が降ったあと淵の底に大量の砂が流れ着いたのを取っておいたのだ。アクアリウムでよくつかわれる田砂に似ているが、粒が少々とがっていて、色が少し暗い。ヒラタカゲロウの卵という微妙なおまけもついていた(笑)
底砂には栄養がないので、砂の底に塩ビパイプを張り巡らせて、そこから液肥を与えられるようにしてある。立ち上げから2か月ぐらいは大塚ハウスという水耕栽培用の液肥を薄めて与えていた。最近は砂の下に魚やエビのフンの堆積層ができ始め、窒素やリンの添加は不要になったから、木灰の水溶液をコーヒーフィルターで濾して作った液肥で、カリウムと微量元素だけを補うようにしている。この水槽には、バリスネリアとヘアーグラスとコブラグラスという丈夫な水草しか植えていないから、そんな適当肥料でも十分育つ。
立ち上げから5か月が経ち、水替えをあまりしないでもコケが生えなくなってきた。病気も出てない。いわゆる安定状態になったようだ。
曇りガラス越しとはいえ、真昼の太陽光をめいっぱい当てていただけに、もっとコケに悩まされると思っていたのだが、これはうれしい誤算だ。夏の水温問題が心配だが、今のところ太陽光と水槽は結構うまくやっている。