当店の採種圃場では現在、2019年向けのタバコの種の収穫が最盛期を迎えております。
全国的に異常気象に見舞われている2018年ですが、幸いにして、当店採種圃場のある関東地方は、極端な雨風にさらされることもなく、来年用のタバコの種子の状態は上々です。
収穫がある程度落ち着き次第、順次ソクラテスの煙草の方へ種子リストをアップロードしてまいりますので、もうしばらくお待ちください。
さてさて、
当店では現在、収穫と並行して、古い種子在庫の入れ替えのために、種子を保管している冷蔵庫の整理をしています。
その冷蔵庫には、私の個人的な菜園用の種子Boxも一緒に保管されていまして、先日、そちらのBoxの底の方から、こんなものが出てきました。
4年前に買ったタマネギの種子です。
タマネギといえば、野菜の中でも最も種子寿命の短い部類の野菜。
種袋にも「非常に寿命が短い」とあります。
さらに、タマネギの播種適期は秋の2週間程度しかなく、「蒔いたけど発芽しない」となると、それだけでわずかな蒔き時を逃すことになりますから、通常なら、毎年新しい種を買うか、自家採種しないと不安になるレベル。
1年前の種ならともかく、2年以上前の古種はちょっと使いたくないですね。
ということで、4年前の種子など普通ならこのまま捨ててしまうのでしょうけど、今回、何となく魔が差したので、濡らしたキッチンペーパーの上に種をまいて、発芽試験をしてみることにしました。
結果・・・↓
めっちゃワサワサ発芽しとるやん・・・
種袋には85%の発芽率(2014年7月時点)が保証されてましたが、いまでもそれぐらい発芽してるんじゃなかろうか?
正確に言えば、この段階ではまだ「発根」なのでしょうけれど、この勢いなら、あと一日も置けば「発芽」の段階に至るでしょう。
試験開始が一昨日の昼ごろ。上の写真を撮ったのは本日の昼過ぎなので、経過した時間は丸2日間。2日という短時間でこの発芽勢というのは、種子の活性がまだまだ高い証拠です。
揃いもいいし、これなら普通に今年の玉ねぎ苗作りに使えますね。
低温・低湿環境なら、短命種子もかなり長生きするのでは?
今回の試験結果を見る限り、タマネギのように一般に短命と思われている種子でも、保存環境を整えることで、かなり長生きさせることが可能だと思われます。
ちなみに、今回のタマネギの種子は、四辺にロックがあるタッパーに、乾燥材(シリカゲル)とともに入れて密閉し、そのタッパーを冷蔵庫にいれて保存していました。
このタッパーには他の野菜の種も入っているので、年に10回程度は開け閉めしてましたが、シリカゲルの交換は年3回ぐらいしかしてません。
それでも、蓋を開けて種袋を触ると、外気の湿気を吸収した種袋が吸湿発熱効果(カラカラに干したタオルで濡れた体を拭くと温かいアレ)で温かくなるぐらいの低湿環境は維持できていたようです。
「冷蔵庫とタッパーとシリカゲル」
これだけで、短命種子の代表であるタマネギを4年間生きながらえさせることが可能でした。それも、発芽率をほとんど低下させずに。
うちの菜園は比較的大規模ですが、それでも蒔き切れずに余る種がたくさんあります。小規模な家庭菜園をやっている方々ならなおのことでしょう。最近の種は結構高価ですから、余った種を捨ててしまえば、塵も積もればで結構な金額を無駄にしてしまっていることになります。
「短命種子代表のタマネギでも、ちゃんと保存すれば少なくとも4年は実用レベルの発芽率を維持できる」というのは、我々菜園家にとって、とても有用な情報なんじゃないかと思います。
タバコのこととはあまり関係ない話ではありましたが、一介の菜園家として、なかなかうれしい実験結果が観察できたので、ここに書いておきました。