秋、ヤママユガが来た。

うちは山奥にある。

クロネコの兄さんも見つけられないぐらいの山奥。

今日も住所不明で荷物が届かなかったので、いつものごとく町の営業所まで取りにいって、ついでに切れた電球の換えを2個買って帰ってくると、玄関の電球の下に15センチぐらいのヤママユガが2匹とまっていた。

秋だな、と思った。

雨が強くて、軒から落ちてくる水滴の跳ね返りで裾が濡れるから、ぱっと写真に撮って、立ち止まってまじまじと見ることはしなかったけど、今こうして見てみると結構かっこいい。

アメリカンインディアンの羽飾りみたい。

うちに来る蛾で大きい奴は、このヤママユガとオオミズアオで、ヤママユは秋、オオミズは春。ヤママユは枯葉の色。オオミズは新緑の葉裏の色。

うちの周りにはほとんど杉と檜しか生えていないから、山奥とはいえ、広葉樹の葉で育つでかい蛾は結構レアキャラで、発見すると少し嬉しくなる。今日みたく2匹同時にいるのはかなり珍しい。

触覚とか、背中のモフモフとか、羽の目玉模様とか、見れば見るほどかっこいい。

ヤママユは成虫になると食べ物を一切とらないで、2週間ぐらいで死んでしまうらしい。

だから、こうやって電球に誘引されてうちの壁に止まっている時間は、彼らにとってすごい無駄な時間なのかもしれない。

彼らが限られた寿命をこれ以上を無駄にしなくて済むように、電球のスイッチを切っておこう。

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