日本のたばこ政策の中の人たちの議論を見てみよう!【第2回目】

前回、

日本のたばこ政策の中の人たちの議論を見てみよう!【第1回目】

では、財務省の会議のクッソ長い議事録を引用しましたが、今回も相変わらずクッソ長い議事録です(笑)

とはいえ、今回は、財務省のではなく国会の議事録です。

登場人物は麻生国務大臣と、もと神奈川県知事の松沢成文さん、財務省の佐川宣寿さん。

麻生さんは誰でも知っていますね。

松沢さんは超アンチたばこの人で、日本のたばこ利権について本を書いてるので知っている人も結構多いでしょう。元神奈川知事だし。

佐川さんは、森友問題で有名になったあの人ですw

そんな豪華なメンバーが、今年の4月に、アイコスやプルームテックなどの税率について、JTの完全民営化についてなどを話しあっています。

内容は、まあいつものごとく、利権守りたい派の自民麻生さん&財務省佐川さんVSたばこ嫌い派の松沢さんという感じの構図で、松沢さんがいろいろおかしいんじゃない?って聞いて、麻生さんたちがいろいろ言い訳するって感じ。

麻生さんは今年、水道事業民営化を主導した張本人ですが、農家とJTの利権については、民営化とは正反対のことを言っています(笑)

まったく、都合のいいお仕事ですねえ。

今回は前回とは違い、全体をとおして結構面白いですが、特に民営化のところ(赤字)を注目してみてください。

ではどうぞ。

平成 29 年 4 月 10 日参議院決算委員会議事録

○松沢成文君

無所属クラブの松沢成文です。
本日最後の質疑者になりますので、よろしくお願いいたします。
私は、恒例の、ちょっとたばこの問題を取り上げたいと思うんですけれども、特に、たばこの税金の問題からお伺いしたいと思います。
財務省のホームページによりますと、日本国内で販売されている主な紙巻きたばこ、一箱四百四十円当たりの税負担割合は、たばこ税と消費税を合わせた税額と税率が二百七十七・四七円で、この税率は六三・一%とありますが、これで正しいでしょうか。

○政府参考人(星野次彦君)

お答え申し上げます。
先生今御指摘になられましたとおり、一箱四百四十円の紙巻きたばこに掛かる税負担でございますが、たばこ税が二百四十四・八八円、消費税が三十二・九円、合計で二百七十七・四七円、負担率は六三・一%でございます。

○松沢成文君

ここ数年、加熱式たばこというたばこが市場に出回ってきていまして、こういうやつらしいんですけれどもね。(資料提示)これ、今市場に出回っているのは三種類あるんですね。フィリップ・モリスのアイコスとJTのプルーム・テック、そしてBAT、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのグローというんですかね、これの一箱当たりの価格と税率はそれぞれ幾らになっていますでしょうか。

○政府参考人(星野次彦君)

お答え申し上げます。
現在販売されております加熱式たばこに掛かるたばこ税、消費税の負担率につきまして、各製品の重量一グラムを紙巻きたばこ一本として税額を計算いたしますと、フィリップ・モリス社の一箱四百六十円の製品アイコスの例では二百二十六・三〇円が税でございまして、率として四九・二%、JT社の一箱四百六十円の製品プルーム・テックの例では六十八・三五円の税負担、一四・九%、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ社の一箱四百二十円の製品グローでは百五十一・一〇円の税負担で三六・〇%になります。

○松沢成文君

いや、驚くべき数字が出てきました。
こっちのシガレット、紙巻きたばこは、JTのメビウス、あるいはPMのマールボロというんですか、それからBATのケント、これも有名な銘柄ですね。これ、大体二百四十円とか二百六十円、二百二十円。それで、当然一本当たり幾らと税は計算しますので、税額一緒なんですよね。二百四十四・八円ですね、これ、たばこ税でいって。

さあ、今度、こちらの加熱式たばこ、加熱式たばこは税額が四倍も五倍も開きがある。PMもJTもBATも、大体この一箱で四百六十円とか、まあBATだけ四百二十円と安いんですけれども、税を比べると、何とアイコスは四九・二%、税取られているんですね、負担しているんです。それで、BATのグローは百五十一円。そして、何とJT、六十八円ですよ。三分の一、たばこ税だけでいうと四分の一ぐらいになっちゃうんですよ。こんな不公平な税制ってあるんですか。だって、このパッケージの値段はほぼ一緒なんですよ。それなのに、海外からの、フィリップ・モリスやBATはめちゃくちゃ税金取っていて、自国のJTだけは三分の一、下手したら四分の一の税率なんですね。これ、財務大臣、私も今日聞いて初めて知ったんですけれども、こんなことをやっていたら、非関税障壁そのものじゃないですか。輸入たばこというのは関税ないんですね。ですから、日本の市場の中で、外国産であろうとJT産であろうと、同じイコールフッティングで競争しなきゃいけないんですよ。それなのに、取られる税金は三倍、海外のたばこはJTの国産たばこの三倍取られるわけですよ、この加熱式たばこにおいては。これは私は非関税障壁そのものだと思いますし、こんなに国内のたばこを優遇する税制をしていたら、それこそそのうち国際問題になると思うんですが、大臣、ちょっとまずここの感想を聞かせてくださいよ。いいんですか、こんなことで。

○国務大臣(麻生太郎君)

国際問題にしたいのかどうかは知りませんけど、私のちょっと記憶ですけれども、これ、葉っぱのグラム数で決めているんだろう、そうだったな、たしか。葉巻やら何やらで決まっているんだろう。(発言する者あり)うん、それが理由ですよ。
だから、中に入っているたばこの葉の全体量の違い、あるいはタールの量が違うんだと記憶しています。あとは、詳しいことは役人に聞いてください。

○松沢成文君

確かに大臣言うとおり、このシガレットの方は一本幾らで税が掛かってくるんですね。こちらの方は、中に入っているたばこの量だというんですけれども、まず、加熱式たばこでこれだけ三社で税率に負担に差があるのはなぜなんですか。そこから聞きましょう。

○政府参考人(星野次彦君)

お答え申し上げます。
たばこ税法におきまして、製造たばこを課税対象としておりますけれども、この場合の製造たばことは、たばこ事業法におきまして、葉たばこの原料の全部又は一部とし、喫煙用等に供し得る状態のものと定められております。
紙巻きたばこにつきましては本数に応じた課税を行っておりまして、この一本の中には、葉たばこのみではなくて、例えばフィルターや紙の部分も含まれております。本数で捉えることが困難なパイプたばこにつきましては、紙巻きたばこ一本の重量、これがフィルターや紙も含めましておおむね一グラム程度であったことを踏まえまして、一グラムを紙巻きたばこ一本に換算して課税を行うこととしております。
御指摘の加熱式たばこは、パイプたばこに区分をされております。今申し上げましたとおり、パイプたばこは、その重量一グラムを紙巻きたばこ一本に換算してたばこ税を課税することとされておりまして、現在販売されている加熱式たばこにつきましては、一箱当たり葉たばこの詰められているスティックですとかカプセル、これの重量を見て、この重量に掛けて税率を出している、税金を出しているということでございまして、例えばフィリップ・モリス社の製品アイコスの例ですと、これは十五・七グラム、それからブリティッシュ・アメリカン・タバコ社の製品グローの例では九・八グラム、JT社の製品、プルーム・テックの例では二・八グラムと、各社の製品の重量が異なることから税額が異なっているということでございます。

○松沢成文君

スティックというのはこういうやつですね。このスティックの中に入っているたばこの葉っぱの量で決めているというんです。
それでは、なぜ小売価格が一緒になるんですか。だって、葉たばこの量で税を決めているのであれば、小売価格が一緒というのはおかしいじゃないですか。みんな四百六十円、小売価格どうやって決めているんですか、これ。

○政府参考人(星野次彦君)

お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、このたばこの税、一本当たりの重量というのは、葉たばこの、たばこの量のみではなくて、フィルターですとか、それからスティック、カプセル等々も含めた重さでもって課税をしております。
結果として小売価格、販売価格がどうなるかということは、これ自体はそれぞれの会社の販売戦略等に基づいて価格を決定しているというふうに認識をしております。

○松沢成文君

財務省が小売価格を認可するんじゃないんですか。そのときに、なぜ同じ値段になるんですか。だって、たばこの葉っぱの量が違うんでしょう。だから税額が違うんでしょう。それなのに小売価格は同じ四百六十円で認可しているじゃないですか。そこおかしくないですか。

○政府参考人(佐川宣寿君)

お答え申し上げます。
たばこの小売定価の認可のお話は、それはたばこの量とかではなくて、まさに消費者に影響を与えないとか、そういう条文がたばこ事業法にございまして、そこに反しない限りは小売定価の認可を認めるということになっておりますので、その販売戦略上の値段が一緒かどうかということについては、別に我々判断している材料ではございません。

○松沢成文君

それは余りにも公正な競争としておかしくないですかね。だって、同じ小売価格で売っているんですよ。これ財務省が決める価格ですよ。こっちのたばこの量はすごく少ないから税が安くなる。圧倒的に得するじゃないですか。本数で決めているこちらの方はそういうことになっていませんよ。ちゃんと小売価格が同じだったらたばこの税額同じなんですよ。これは、政府の特殊会社であるJTが加熱式たばこで随分苦戦しているんです、フィリップ・モリスにどんと先に行かれて。とにかくこの十年、加熱式たばこで追い付かないとJTの経営は厳しくなる。それだったら、このJTがこれから全国販売するプルーム・テックというたばこの税率をぐっと下げて、どうにかJTがうまく商売できて、そしてJTの株価も上がって、財務省は筆頭株主ですから、そこに上がってくる配当金、これ六百億、七百億あります、それを使って財投の各独立法人にお金を回して、どうにかいいたばこ利権は維持していきたい、と思われても仕方ないんじゃないですか。

○政府参考人(佐川宣寿君)

お答え申し上げます。
先ほどの話で申し上げますと、たばこ事業法におきましては、個別製品の小売定価認可につきましては、当該申請小売価格による販売が消費者の利益を不当に害することとなると認めるときなどを除き認可しなければならないと、こうなってございまして、各たばこ会社が自分の企業戦略に基づきまして設定しましたその販売価格が、この条文である消費者の利益を不当に害することとなると認めるときとか、そういうことに該当しない限りは認可をするということになっているところでございます。

○松沢成文君

次に、この加熱式たばこの中に入っている成分、吸ったときにニコチンやタール、これあるんですよね。燃えていませんから毒物は多少少ないと言われています、たばこ会社はそう言っています。でも、中にはニコチンやタールが入っています。
さあ、たばこ事業法で、なぜたばこでニコチンやタールが入っているのにその表示をしないんでしょうか。たばこ規制枠組条約では、たばこはその毒物をきちっと表示しなさいとなっているのに、この加熱式たばこは表示をしていません。その理由は何ですか。

○政府参考人(佐川宣寿君)

お答え申し上げます。
国内で販売されてございます製造たばこにつきましては、今委員おっしゃいましたとおりで、たばこ事業法に基づきましてニコチンやタールの表示義務がございます。ただ、たばこ事業法のその規則の中に、タール量及びニコチン量の測定が著しく困難であると財務大臣が定めるたばこ等につきましては、その表示義務が除外されております。
それで、紙巻きたばこにつきましては、実はISOという国際的な標準を決める機構がございますが、ISOにおいてこの紙巻きたばこの標準的な測定方法というのが定められてございまして、我が国においてもそれを採用して、大臣の告示でたしか決めて、それを使っております。
他方、この加熱式たばこの製品というのは、新しい製品であるということもありましょう、現状、いまだその標準的な測定方法が確立してございませんので、そういう意味では表示義務からは除外されているところでございます。ただ、加熱式たばこに係る測定方法、今後広がっていけば、国際的な動向もございましょうから、そういうものを見ながら我々もその段階で検討していきたいというふうに考えます。

○松沢成文君

たばこの害、喫煙だけじゃなくて、今受動喫煙の害もあるということで法整備もなされていますけれども、やはり、たばこのパッケージに、中に毒物が入っている、それをきちっと表示しないと消費者は誤解するんですよ。それがあって初めて、ああ、加熱式たばこだけれどもやっぱりニコチンやタールはあるんだな、じゃ、吸い過ぎには気を付けよう、あるいは吸うのをやめようということになるんでしょう。それがないなんというのはやっぱり条約上見ても非常におかしいわけで、改善を求めたいというふうに思います。
さて、続いて、税率にもう一度戻りますけれども、たばこ規制枠組条約では、たばこはやっぱり毒性もあるし、できるだけ喫煙率を下げたいということですから、たばこの税率は七〇%以上を目指すようにとなっているんです。日本のシガレットの税率でさえまだ六三%、六五%。これだって、本当は七〇%を目指すべきなんですよね、日本も条約に入っているんだから。
さあ、今度、先ほどのアイコスは五〇%近く行っています。しかし、JTのプルーム・テックは何とその三分の一以下ですよね。七〇%を目指すべきたばこの税率で、プルーム・テックは一四・九%。この税率自体、全くもって条約の方針に反しているんですね。
さあ、どうでしょうか。シガレットの税率を上げるだけじゃなくて、このプルーム・テックの税率をしっかりと条約に沿った方向で上げるという方向性はありませんか。

○政府参考人(星野次彦君)

加熱式たばこの税率でございますけれども、繰り返しになりますが、先ほど申し上げたように、分類としてはパイプたばこに分類をされて、したがいまして、重量一グラムを紙巻きたばこ一本に換算して課税をすると、その重量自体が葉たばこが詰められているスティックやカプセルが課税対象である製造たばこに該当するということで、この重さでもって課税をし、その税負担は今先生がおっしゃったような負担になっているということでございます。
これを今後どうするかということでございますけれども、加熱式たばこ、まだ出て日も浅い製品でございまして、これについてどのような課税にしていくかということにつきましては、市場における動向等々をよくにらみながら今後検討していく課題だと考えておりますけれども、現時点で取っているルールとしては、これまでの税のたばこにおける分類に則して行っているものでございまして、一定の合理性があるものと考えております。

○松沢成文君

たばこの農家がたばこを作っていますよね。たばこ事業法やJT法によって、その農家が作った葉たばこをJTは全量買上げで、それで国内の生産の独占ができるわけですよね。たばこの農家を守っていかなきゃいけない、たばこの内外価格差が解決されるまでは民営化できないというのが政府の民営化しない大きな理由です。
でも、今喫煙率がどんどんどんどん下がっています。ですから、たばこ農家から買うたばこ量もどんどんどんどん減っているんですね。その上、加熱式たばこができて、加熱式たばこは燃やして吸うたばこよりも消費量は必ず落ちます。そうなってくると、たばこの葉っぱの需要がどんどんどんどんなくなるわけですよ。
ですから、これ内外価格差を是正するなんというのはできるはずがないわけですね。ですから、こういう理由を立ててJTを民営化できないというのは全くのナンセンスなわけです。
たばこというのは、もう国内では民間の会社が競争しながらやっている市場なんです。今、中国を除いたらOECD諸国でも、たばこ会社を半国営で、特殊法人として抱えているのは日本だけなんですね。JTは今、経営の多角化をして、たばこ以外の医療品だとか食料品もどんどん手を出している。そしてたばこ自体も、加熱式たばこ、あるいは日本で許可されていませんけれども、無煙式たばこといって、新しい商品がどんどん出ているわけですよ。昔のたばこの葉っぱを燃やして吸うシガレット、どんどんどんどん需要が落ちているわけですよ。
もうこういう世の中になって、大臣、もうここは大臣答えてもらわないと。なぜJT民営化できないんですか。JTはもう民営化してほしいと言っているんですよ。それに絶対に民営化はさせないと、今のままがいいんだという、固執する大臣の考えが私はどうしても理解できないんですけれども、いかがでしょうか、最後。

○国務大臣(麻生太郎君)

これは前々から、葉たばこ農業、農家というものの保護というのは極めて大きな要素であって、松沢先生の話だと、簡単に潰しゃいいじゃないかという話のように聞こえるんですが、農家、農業というのはそんな簡単に潰せるもんですかね。私のところでも、どうなんだか知りませんけど、結構、九州に限りませずほかのところでも葉たばこの業者というのは多い数なので、これはもう前々から出ていますけど、これ、ある日突然、はい、やめるって、それでどうするんです。騒ぎになったらその部分だけという話にもなりますけれども、私どもは、そういった意味ではなかなかそういった話は行かないんじゃないのか。
また、二兆一千億ですかね、今、税金は。地方税と国税とを合わせて二兆一千億ぐらいあると思いますけれども、そのうち半分が地方税に入ってきますので、私どものような町や市でも数億円のいわゆる交付税というのは結構大きなネタになっていると思いますので、これが簡単になくなると農家とかはえらい困りはせぬかね、あんたのところなんか。俺なんかはそう思いますけれども、隣の町に住んでいるからよく分かるんですけれども。そういったようなことを考えますと、そんな簡単にできるという話じゃなくて、少しずつ少しずつやっていっているというのが今の実態だと思いますが。

○松沢成文君

最後まとめますが、大臣の答弁聞いていると、とにかく既得権は守らないと、これを改革すると困る人がたくさんいるからできないと、もうまさしくそれを代弁しているだけなんですよね。
たばこ農家と言いますけれども、たばこ農家というのは、これ、たばこだけを作っている農家は少ないんです。ほかの農作物も作っています。ですから、たばこをやめても、じゃ、農業で失業するかというのはそうならない農家がすごく多いんですね。ですから、たばこ税をもし上げて、その分の一部税金をたばこ農家の転作支援とか、あるいは農業継続支援に回せばソフトランディングできるじゃないですか。
既得権守るために、それやったらおまえの県も困るだろう、もうこういう古い考えはやめましょうよ。そうしないと、日本は何にも構造改革ができないで終わると思います。
以上です

松沢さん、よく言った!

と言いたいところですが、この人は完全たばこアンチの人なので、まあ何とも言えないかな。

とりあえず、たばこの利権は岩盤なんだね、ってことはわかりました。

筆者が思ったのは、

水道は民営化して、たばこは民営化しませーんって、麻生さんそれ二枚舌すぎない?

ってことですかね。

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