タバコは、ナス科タバコ属の植物です。
このことを実感するには、ナスと隣り合わせで見てみるのが一番手っ取り早いです。
ということで、ナスの苗と、現在育苗中のタバコの苗を並べて、写真を撮ってみました。
タバコといっても、この苗はニコチアナ・ラスティカで、我々が現在一般的に吸っているたばこの原料であるニコチアナ・タバカムとは違う種類の植物です。
人類が喫煙に利用してきたタバコ属の植物は、ラスティカとタバカムの2種ですが、ラスティカのほうは、ニコチン含有量が多すぎ、喫味がよくなく、収量も少ないので、現在では全くと言っていいほど栽培されていないようです。そういう意味では、コイツは結構貴重な種類のタバコなんですよ。
まあ、そんなうんちくはさておき、この植物も一応タバコ属の植物ではあります。
タバコ属ということは、当然、ナス科の植物でもあるわけです。
写真を見ていただければ、それは一目瞭然ですね。
「ちょっと変わったナスの苗です!」みたいに言えば、騙されてしまう人が普通にいそうなぐらい似てます(笑)
人類が作物として利用しているナス科の植物は、タバコやナスの他にも、トマト、ジャガイモ、トマティーヨ、ピーマン、トウガラシなどなど、数多くあります。われわれ現代人の食生活の多様性は、ナス科の植物によって支えられているといっても言い過ぎではないでしょう。
ジャガイモに至っては、タバコとほぼ同じタイミングでヨーロッパに伝わり、産業革命の少し前の時代の急激な人口増大――このとき生み出された余剰な人口が後の産業革命の重要な要素になったのは言うまでもありません――に大きな貢献をしましたから、もしもナス科の植物がこの世に存在していなかったら、我々は今でも中世のような旧式で不便な生活を続けていたかもしれません。ナス科の植物はわれわれにとって切っても切り離せないほどに重要なんですね。
おまけ。ジャガイモみたいな葉を持ったトマト
ジャガイモの話をしたついでに、「ジャガイモみたいな葉をしたトマトがあるんですよ」という話をしましょう。
そのトマトは、通称“ポテトリーフタイプ”というくくりの品種で、「ブランディーワイン」という品種が有名です。まあ、有名といっても、“菜園マニアの間で”の話ですが(笑)
葉の形は、ご覧のとおり、まさにポテトリーフ。一般的なトマトの葉とは全然違います。ちなみに、この形質は劣性形質です。
正直なところ、この品種は、疫病に弱く、果実の味はあまり美味しくなく、実つきもあまりよくないので、最近は栽培してませんが、葉の形の珍しさは一見の価値ありです。
ということで、広義でいうナスの仲間、もとい、タバコの仲間たちについてのお話でした。